地域包括支援センター その1
地域包括支援センターとは、
少子高齢化対策として地域内で高齢者を支える地域包括ケアシステムのことです。
高齢者が要介護になっても住み慣れた地域で過ごせるように、「住まい」「介護」「医療」「予防」「生活支援」といった必要なサービスを、地域一帯となって提供する体制を目指しています。
2025年をメドに整備が進められていますが、この地域の中核機関として設置されたのが地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは、在宅介護支援センターの運営法人や社会福祉法人、社会福祉協議会、医療法人、民間企業、NPOなどが市町村から委託を受けて運営しています。
各センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3つの専門職、またはこれらに準じる者が必ず配置されています。
4つの業務
①「介護予防ケアマネジメント」
②「包括的・継続的ケアマネジメント」
③「総合相談」
④「権利擁護」
地域に住む高齢者と、その支援や介護に携わっている方々を支える役割です。
「地域包括支援センター」と「居宅介護支援事業所」の違い
高齢者の方が悩みや不安を持ちかける場所として、「地域包括支援センター」があるということはご説明した通りです。では、もうひとつよく耳にする「居宅介護支援事業所」にはどんな違いがあるのか?
ひとことで簡単に言うと、
「地域包括支援センター=すべての高齢者の相談を受け付ける施設」で、
「居宅介護支援事業所=要介護認定を受けている高齢者のケアプランを作成する事業所」です。
地域包括支援センターは、前述の通り、高齢者のための総合的な相談所。例えば、「近所の一人暮らしのおじいちゃんの姿を最近、見ないんだけど」「お隣の老夫婦の家にゴミがたまって困る」といったように、地域住民からの相談も受け付けています。
もちろん、要介護認定の申請や、介護サービスの手続き、介護サービスの事業所の紹介など、介護サービスに関する最初の窓口としても機能しています。
一方で居宅介護支援事業所とは、ケアマネジャーが常駐するところで、介護認定を受けた人に対してケアプランの作成や、介護サービスを受けられる事業所の紹介を行います。そのほかにも、介護に関する全般的な質問・相談を受け付けています。
地域包括支援センターの役割
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを地域でサポートするための拠点として、自治体などにより設置されている機関のこと。保健師(もしくは経験豊富な看護師)や社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置され、介護だけでなく、医療、保健などさまざまな領域の関係機関と連携し、高齢者の生活課題に対応しています。
元々は地域住民の医療と保健の向上、さらには福祉の増進に向けた支援を包括的に行うことを目的に、2006年の介護保険制度改定によって誕生しました。
地域の高齢者と家族に対する「総合相談支援業務」「権利擁護業務」「介護予防ケアマネジメント業務」「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」などが、設立当初に想定されていた業務内容です。
ただ、現在は全国の自治体で進められている
「地域包括ケアシステム」の構築に向けて中核的な役割を求められるようになり、新たな業務内容が追加されるようになっています。
介護保険サービスを利用したい人の相談を受け付けているほか、実際の申請にあたってのサポートも行っています。在宅介護生活を送るうえでは、なくてはならない存在なのです。
例を挙げると、以下のようなものがあります。
- 在宅医療・介護の連携
- 生活支援コーディネーター
- 介護予防の推進
- 地域ケア会議の主催
「地域ケア会議」とは、職種の異なるさまざまな専門家が集まり、高齢者に対する支援や社会の体制を整えるために話し合う場のことです。
こうした新たな業務を効率的に行うためには、センター間での役割分担や連携なども必要になります。
地域包括支援センターの業務は高度化しつつあり、地域内で果たす役割の重要度も増しつつあると言えるでしょう。